プログラミング基礎 II

第三回 (2010年10月11日)

文字列の操作

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2010/PB2/lecture3.html

Martin J. Dürst

© 2006-10 Martin J. Dürst 青山学院大学

目次

• 前回のまとめ・演習・宿題
• 文字列: 記述と演算
• メソッド
• 文字列のメソッド
• 簡単な入力
• プログラムの記述と開発の仕方
• 演習

前回のまとめ

• 数値の計算には演算子が使われる
• 評価の順番は演算子の優先度と結合で決定
• 四則演算、べき乗演算、剰余演算
• Ruby の数値の種類: 整数、浮動小数点数

前回の演習 1: プリント中の質問の確認

前回の演習 2: 米粒の計算

• インドに由来する話によるとチェスの発明者は王さまからお願いした米の量は、
  ひとマス目に1粒、次のマス目にその倍、次のマス目に更に倍、... (合計は 2⁶⁴-1)
• 粒の総数 (number of grains)、総重量 (kg で、一千粒が 22g; total weight)、
  俵の総数 (一俵が 60kg; number of bales)、日本の人口を養える年数を計算
• 上記の計算と分かりやすい出力をするプログラムを作成
• プログラムをMoodle にアップロード (10月8日 (金曜日) 22:00 必着、ファイル名は grains.rb)

前回の演習 3:

• この授業で習った演算子などを使う計算問題を作成
• この授業で習ってない演算子などが必要でしたらその旨を指摘
• 複数の学生から同様又は類似の問題の場合、減点対象
• calculation.txt のファイル名でMoodle にアップロード (10月8日 (金曜日) 22:00 必着

文字列

(string)

文字列は文字の列

書き方: 一重引用符 (single quote) で囲む:

• 'abcde', 'ABCDE', '1234'
• 'ひらがな', 'カタカナ', '漢字'
• 'aB5漢字カナ交じり文'
• 'It\'s fun!' ⇒ It's fun!
• \' (⇒ ')と \\ (⇒ \) 以外全文字はそのまま

二重引用符で囲む文字列

(double quotes)

• 基本的に一重引用符の場合と同様
• 多くの特例:
  • \" ⇒ ", \\ ⇒ \
  • \n ⇒ (改行), \t ⇒ (tab),...
  • #{計算} ⇒ 計算結果に置き換えられる

\ と ¥ に注意

• "\" (backslash, reverse solidus) は日本語のシステムでよく"¥" (yen sign) と見える
• 7bit/8bit 文字コードの次代からの残物
• Unicode の場合には別文字:
  • U+005C REVERSE SOLIDUS
  • U+00A5 YEN SIGN
• 対策:
  • 文法的に使う "¥" を頭の中で "\" に置き換える
  • 「円」等の意味で使う場合にはできるだけ U+00A5 や全角の￥または円を使用

文字列の演算

• 「足し算」: 文字列 + 文字列
  例: 'Hello' + ' World!' ⇒ Hello World!
• 「掛け算」: 文字列 * 整数
  例: 'Hello' * 3 ⇒ HelloHelloHello
  3 * 'Hello' ⇒ エラー

メソッド

(method)

演算子でできない操作はメソッドで実行

書き方: レシーバ.メソッド

優先度: 一番高い; 左結合

具体例:

• -5.abs ⇒ 5 (絶対値)
• 2.3.ceil ⇒ 3 (整数に繰り上げ)
• 4.7.floor ⇒ 4 (整数に繰り下げ)
• 5.5.round ⇒ 5 (四捨五入)

文字列の基本的なメソッド

• string.length ⇒ 長さ (文字の数)
• string.reverse ⇒ 文字の順番を逆
• string.succ ⇒ 「次」の文字列

文字列の大文字と小文字

string = 'heLlO wORld!'

• string.capitalize ⇒ Hello world!
• string.downcase ⇒ hello world!
• string.swapcase ⇒ HElLO WorLD!
• string.upcase ⇒ HELLO WORLD!

(A-Z とa-z だけに影響、それ以外の文字には影響なし)

空白の除去

• string.lstrip (左側の空白を除去)
• string.rstrip (右側の空白を除去)
• string.strip (両側の空白を除去)

文字列の揃え

• string.center 整数 (長さを整数まで拡大、中央揃え)
• string.ljust 整数 (長さを整数まで拡大、左揃え)
• string.rjust 整数 (長さを整数まで拡大、右揃え)

整数は「引数」(parameter) という

二つ目の引数があれば、スペースの代わりに使用

例: "abcde".center 25, '-*-*-' ⇒ -*-*--*-*-abcde-*-*--*-*-

文字列の操作

• string.count 文字列 (文字列にある文字を string 内に数える)
• string.delete 文字列 (文字列にある文字を string から削除)
• string.squeeze 文字列 (文字列にある文字の繰り返しを消去)

簡単な入力

• gets で一行入力
• そのまま出力: puts gets
• 入力の保存: input_string = gets
• 入力の説明:
  puts 'Please input a string with many spaces:'
input_string = gets

プログラムの記述

• スペースを意識
  • 行の中のスペースで計算の構造を分かりやすくする
  • 行の間のスペースで数行をまとめる
• 分かりやすい名前の使用 (小文字、単語の間に _):
  is = gets
input_string = gets
• 必要に応じてコメント (comment) を追加
  • # から行末まで
  • 実行では無視される

プログラムの開発

• プレーンテキストエディタなどで数行書く
• ファイルを保存 (拡張子は .rb)
• 「Start Command Prompt with Ruby」で ruby program.rb で実行
• 結果を確認、間違いがある時にプログラムを修正、再実行
• 間違いがなくなったときプログラムに更に数行書き足し、再実行
• 完成まで繰り返し

どんなにうまいプログラマでも間違いはよくする

演習

提出: 10月 15日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

• 長くてスペースなど色々な文字を含まれる文字列を入力させる
• 次のものを分かりやすいように出力する:
  • 入力した文字の数
  • 片方や両端の空白をとった文字列とその長さ
  • 真ん中の空白の繰り返しを除去した文字列とその長さ
  • 大文字だけで右そろえ (文字の合計の長さが 50)
  • 文字の大小を逆転して左そろえで、右側に合計50文字まで "..." で埋める
  • 文字列の文字の順番を逆にして、50 文字の真ん中そろえ
  • それ以外に三つの面白い文字操作

注意

来週 (10月18日) は海外出張のために休講

次の授業は 10月25日