プログラミング基礎 II

第十二回 (2010年12月20日)

プログラム開発

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2010/PB2/lecture12.html

Martin J. Dürst

© 2007-10 Martin J. Dürst 青山学院大学

今日の予定

• 前回の復習と演習
• 開発方針
• 便利なイテレータ: inject、group_by
• 演習

これからの予定

• 12月20日 (月): 12回目の授業
• 1月17日 (月): 13回目の授業
• 1月18日 (火曜日3限、補講): 14回目の授業
• 1月24日 (月) 13:10-14:10: 期末試験

前回の演習 1

提出: 12月17日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に famous_hash.rb のファイル名で投稿

以前作った famous_method.rb (正解例でも可能) で連想配列によって出力する文字列 (height, weight, normal, obese など) を日本語に置き換えるようなプログラムを作成しなさい。

ヒント:

• class Person の前に連想配列を Translation という名前の定数で用意
• #{Translation[...]} で output_line メソッド内で使用

発展問題: 複数の言語が使えるようにする (ハッシュのハッシュ)

正解例: 都合により削除

前回の演習 2

提出: 12月17日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に words.rb のファイル名で投稿

英語などの文書の入力 (< ファイルまたは直接入力) を行と単語に分解し、それぞれの単語の数を数えて、アルファベット順にきれいに出力しなさい。

入力例: Ottos Mops, President Obama's speaches

ヒント: 文字列の delete メソッドで ,.!?;:'" など記号を取り除く

発展問題: 単語の頻度順で出力

正解例: 都合により削除

プログラム開発

• 開発方針の大切さ
• トップダウン開発
• ボトムアップ開発
• テストベース開発

開発方針の大切さ

• 「大きい」プログラムを作るにあたって、どこから始めればいいのかなかなか不明
• 全体を一気に見渡すのが困難
• 開発方針を考えた方がいい

トップダウン開発

• 全体の大まかなプログラム構造から細かいところへと進む
• 具体例: まずプログラムを大幅に三つの段階に分割
  • 入力
  • 計算
  • 出力
• Ruby から使える機能
  • コメント (コメントだけでまず構造を明確に)
  • 関数、メソッド (プログラムの大きな部分をそれぞれ関数に委託)
  • 関数の疑似的実装 (例: def bmi(h,w) 20 end)

ボトムアップ開発

• 部分的な課題を少しずつ個別に対応
• それぞれの部分ができたら組み合わせて全体を構築
• 具体例: BMI の計算など
• Ruby から使える機能:
  • irb: 難しいと思われる部分を簡単なデータで試用
  • 関数、メソッド

テストベース開発

• 一部の機能のテストを作成
• テストの失敗の確認
• テストを通過できるように実装
• テストの成功の確認
• 上記四つの点の繰り返し
• 特長: テストが財産として残り、プログラムの改正時に役に立つ
• Ruby から使える機能:
  • スクリプト言語機能: 特殊テストの自動化
  • ユニットテストの枠組み (require 'test/unit')

便利なイテレータ: inject

• 用途: 配列の要素を一つにまとめる
• ブロックの内容: 二つの内容のつなぎ合わせ
• 応用例 1 (合計):

  sum = [1, 2, 3, 4].inject(0) do |memo, n|
    memo + n
  end

• 応用例 2 (積):

  product = (1..10).inject(1) do |memo, n|
    memo * n
  end

• inject の引数は出発点 (必要ないときもある)
• memo は今までつなぎ合わせた結果

便利なイテレータ: group_by

• 用途: 配列の要素を何かの項目で分割
• ブロックの内容: 分割項目
• 結果: 分割項目から要素の配列へのハッシュ
• 応用例 1 (偶数・奇数):

  (1..10).group_by do |n|
    n % 2
  end
  { 0 => [2, 4, 6, 8, 10], 1 => [1, 3, 5, 7, 9] }

• 応用例 2 (肥満度):

  famous_people.group_by do |person|
    person.danger
  end

発展技術: 引数としてのブロック

仮引数のときの書き方: def my_method (x, y, &block)

実引数の使い方, その一: block.call (ブロックを関数のように呼び出す)

実引数の使い方, その二: sort_by &block (ブロックを別のイテレータに渡す)

演習 1

提出: 12月24日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に famous_stats.rb のファイル名で投稿

有名人のデータから次の統計を計算し、出力しなさい。

• 肥満度 (height, weight, normal, obese) ごとに人数、平均の体重、平均の身長、平均の BMI
• 全体の人数、平均の体重、平均の身長、平均の BMI

注意: 肥満度ごとにプログラムをコピペするのではなく、繰り返し (イテレータ) を使う

発展問題: 平均を計算できる関数を作って使う

演習 2

提出: 12月31 日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

これから自分が書きたいプログラムの概要・応用を文書 (.txt ファイル) で説明しなさい。

条件:

• 今までこの授業でやったプログラムと根本的に似たもの
• 今までこの授業でやったプログラムより少し発展したもの
• データが簡単に手に入って、授業の一環として使えるようなもの

次回への準備

授業全体の内容を復習し、分からない部分をリストアップ