プログラミング基礎 II

第五回 (2009年11月9日)

同じデータの多回出力: モードの使い方

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2009/PB2/lecture5.html

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

前回のまとめ

XSLT ファイルの主な中身は xsl:template
XSLT プロセッサは変換作業をルートノードのテンプレート (<xsl:template match='/'>...) から適用
xsl:template (雛形) の中の xsl:apply-templates などの指示を呼び出す
xsl:apply-templates (雛形の適用) は使える xsl:template を探し、適用
以上のようなことを繰り返す

前回の演習・宿題: 演習 1

指定 (テンプレート) が無い XSLT 変換ファイルでデータを変換、結果をよく見る。

⇒ 要素の内容が出力される

⇒ 要素そのもの (即ち開始タグと終了タグ) が出力されない

⇒ 属性やその内容が出力されない

「テンプレートが見つからない場合」で確認可能
HTML で定義されていない要素や属性と同等

前回の演習・宿題: 演習 2

abc1.xml と abc1.xsl で色々な場合の変換を確かめる

前回の演習・宿題: 演習 3

データとして books-2009.xml を使って、table.xsl を変更し、もっと充実したテーブルを作る (著者、翻訳者、値段など)。

正解例: table2.xsl

演習の問題点と対応

データの項目が欠けている
- データの修正や検証、DTD を厳しくする
- 処理の移動
- 将来: 別の XSLT 要素を使う
データの項目が複数
- 適切な要素に包む
- 条件で分ける (モードが必要)
- 将来: 別の XSLT 要素を使う

変換とスタイルシート

XSLT の変換ファイル (.xsl) のルート要素には <xsl:transform> も <xsl:stylesheet> も使える
XSLT は元々 XSL の一部で、XSL は XML 用のスタイルシート
XSLT はデータの変換にも使え、その場合 <xsl:stylesheet> はおかしい
見栄えを CSS に任せるのが簡単なので多い
変換とスタイルシートの区別がつかない場合もある

変換の自動的呼び出し

データファイルの先頭 (XML 宣言の直後) にスタイルシート処理命令を追加

例:

<?xml-stylesheet type="text/xsl" href="transform.xsl"?>

利点: コマンドプロンプトが不要

問題点:
出力ソースが見えないので問題点が見つけにくい
各変換にデータファイルを合わせる必要がある

同じデータを数回出力

典型的な応用例: 目次 (table of contents, TOC)
- 入力は章、節そのものだけ
- 見出しは二回出力される: 目次と本文
- 雛形をそのまま呼び出すと二回同じものを出力
モードによって雛形の使い分けが可能

モードの使い方

<xsl:apply-templates> で使用するモードを mode 属性で指定
例: <xsl:apply-templates select='*' mode='TOC' />
<xsl:template> でモードを mode 属性で指定
例: <xsl:template match='h1' mode='TOC'>
モードなしのものは default mode (既値モード)

モードの実例

abc2.xml と abc2.xsl で色々な場合の変換を確かめる

演習 1

提出: 11月13日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に .xsl のファイルを投稿

前回の演習で作ったテーブルに加え、同じ出力で本のリスト (ul や ol) を作って、本の題名と評価文等を出して下さい。

評価文の中の <paragraph> と <strong> をよく分かるようにして下さい。

演習 2

(発展問題、提出不要)

授業で使う資料 (プリント) の先頭や最後に、全てのスライドのリストを付け加える変換ファイルを作ってください。