情報数学 I
第五回 (2008年10月 24日)
論理回路と記号論理
Martin J. Dürst
duerst@it.aoyama.ac.jp
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2008/Math1/lecture5.html

© 2005-8 Martin
J. Dürst 青山学院大学
今日の目次
今回の主な目的
- 論理演算子と論理回路の関係が分かる
- 論理回路を書ける
- 記号論理の目的が分かる
先回の復習
- 組み合わせと順列:
nCm =
n!/m!·(n-m)!,
nPm =
n!/(n-m)!
- 論理演算の性質は集合演算の性質とそっくり
- 双対原理
- 加法標準形 (選言標準形、disjunctive normal form): 変数の
(否定の) 積の和
- 乗法標準形 (連言標準形、conjunctive normal form): 変数の
(否定の) 和の積
先回の宿題
[都合により削除]
XOR, NAND, NOR
今までの論理演算子以外に、回路やプログラミングによく使う演算子がある:
- 「いずれか一つ」: xor, A ⊕ B
(排他的論理和、exclusive or): 暗号学など幅広い応用
- NAND, ¬(A ∧ B)
- NOR, ¬(A ∨ B)
論理回路
論理関数を実際に計算する回路を作ることが可能
論理演算と電気 (電子) 回路の関係は 1938 年に C. Shannon
が修士論文で発表
論理回路の部品は「ゲート」
あるゲートの出力を次のゲートの入力につなぐことが可能
実際の回路では出力を元のゲートに戻すことなどもあるが、その場合には論理回路ではなくなる。
論理回路の場合に真と偽の代わりに 1 と 0
を使うのが普通
論理回路に使う (主な) ゲート
| NOT ゲート |
AND ゲート |
OR ゲート |
|
|
|
|
| XOR ゲート |
NAND ゲート |
NOR ゲート |
|
|
|
|
論理回路の例
この例は半加算器 (half adder) を実現する
(足し算一ビットごとに二個必要)
| 入力 |
出力 |
| A |
B |
S (sum) |
C (carry) |
| 0 |
0 |
0 |
0 |
| 0 |
1 |
1 |
0 |
| 1 |
0 |
1 |
0 |
| 1 |
1 |
0 |
1 |
論理回路の書き方
- 入力は左、出力は右
- 入力と出力の線に変数名や式を表記
- 線は交差のところつないでいるかどうかを明記
- (N)AND と (N)OR
のゲートの場合交換律と結合律が成り立つため、入力の数は無制限
NAND、NOR の特徴
NAND だけ (又は NOR だけ) で全ての論理関数が実現可能
証明 (NAND の場合):
標準系で ∧、∨、と ¬
を使って全ての論理関数が実現可能
上記の三つの演算子を NAND
で実現できれば証明ができる。
¬ A =
A ∧ B =
A ∨ B =
Q.E.D.
NOR の場合には双対原理を使って証明できる。
記号論理
(symbolic logic)
- 論理のモデルを作って、記号演算だけで論理ができるようにする。
- 論理にはいくつかの種類がある。例えば:
- 二値論理 (真と偽だけ)
- 多値論理 (真と偽以外の値がある)
- ファジィ論理 (曖昧さの計算を含む)
- 命題論理 (propositional logic, 命題だけを使う)
- 述語論理 (predicate logic, 一階 (first order) 等)
- 時間など他の要素を取り入れた論理
論理に大切な演算子
- 「同値である」: equiv, A ↔ B
(同値、equivalence)
A と B が同じ値の場合だけ T
- 「ならば」: imp, A → B
(含意、implication)
A が T で B が F の場合だけ F
例: 情報数学 I
に合格するならば三月に沖縄に旅行に行く。
「同値である」と「ならば」の真理表
| A |
B |
A ↔ B |
A → B |
| T |
T |
T |
T |
| T |
F |
F |
F |
| F |
T |
F |
T |
| F |
F |
T |
T |
「同値である」と「ならば」の性質
(「=」と「↔」の使い分けに注意)
- 含意の除去: A→B =
¬A∨B = ¬(A∧¬B)
- 同値の除去: A↔B =
(A→B)∧(B→A) =
(A∧B)∨(¬A∧¬B)
- 推移律: ((A→B) ∧
(B→C)) → (A→C),
((A↔B) ∧ (B↔C)) →
(A↔C)
- 背理法: A→¬A = ¬A
- 対偶: A→B = ¬B→¬A
- 同値の性質: A↔B =
¬A↔¬B, ¬(A↔B) =
(A↔¬B)
- 含意の性質: T→A = A, F→A = T,
A→T = T, A→F = ¬A
恒真と恒偽
- 常に真の式を「恒真式」と呼ぶ。トートロジー
(tautology) ともいう。
- 常に偽の式を「恒偽式」と呼ぶ。
今週の宿題
提出: 再来週の木曜日 (11月6日)、22:00 (厳守)、Moodle
にて。形式はプレーンテキスト。ファイル名は
solution5_xxxxxxxx.txt (例,
メモ帳など; xxxxxxxx は八桁の学籍番号)
二つの変数 (例: A, B)
で可能な論理関数を全て表に列挙し、それぞれの関数を NOR
だけの式で書きなさい。
A = F
B = F |
A = F
B = T |
A = T
B = F |
A = T
B = T |
簡単な式 |
| F |
F |
F |
F |
F |
| F |
F |
F |
T |
NOR(NOR(A),NOR(B)) |
| F |
F |
T |
F |
? |
| ? |
? |
? |
? |
? |