プログラミング基礎 II

第九回 (2007年12月17日)

事前計算: 変数の使い方

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2007/PB2/lecture9.html

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

O 棟 529号室

今日の予定

これからの予定
先回の演習
複数の文書の組み合わせ
名前空間 (復習)
変数の使い方
XSLT のデータ型
演習

これからの予定

次の授業: 今週の木曜日 (12月20日、3限、B420)
補講日: 1月15日 (火、3限、B420)

(全体の予定)

先回の演習・宿題

一般の XML ファイルを分かりやすいように (X)HTML などに変換する。全てのノードの種類 (ルートを含め7種) に対応させる。

ヒント:

スタイルには @class を使う
ルートは一回しかない
ルートの中には要素 (一つ)、コメント、処理命令がありうる
(テキストもありうるが、全て空白のため無視できる)
要素は一番複雑
名前空間ノードは要素の中の最初に出力するとよい
入力の例: someXML.xml、作りかけの変換ファイルの例: showXMLsimple.xsl, その出力: showXMLsimple.html、完成の出力の一例: showXML.html、完成の変換ファイル: showXML.xsl、テーブルを使った変換ファイル: showXMLtable.xsl、出力結果: showXMLtable.html

複数の文書の組み合わせ

データは複数の文書にある可能性がある
例:
- 本のデータ、注文のデータ、送料のデータ
- 学生のデータ、授業のデータ、教室のデータ

XSLT での複数の文書の取り扱い

「メイン」のデータファイルは以前と同様にコマンドプロンプトで指定
「予備」のデータファイルは document() 関数で呼び込む

`document()` 関数

関数 (function) は XPath の機能 (例: not(...), last())
関数が値を戻す: 戻り値 (もどりち)
関数に引数 (ひきすう) がある (数は 0 以上)
document() 関数の引数はファイル名である
例: document('books.xml')
document() 関数の値はそのファイルに入っている XML 文書のルートである
ルートから XPath の他の機能が使える
例: document('books.xml')/books/book[@isbn='4-...'] である決まった ISBN の本の選択

名前空間 (復習)

複数の文書に似た要素名などが出現可能
名前空間で識別されることが多い
名前空間は xmlns:接頭辞="名前空間 URI" で指定
接頭辞無しの場合は xmlns="名前空間 URI" で指定
名前空間は 接頭辞:要素名 などで使用
名前空間の同一性は接頭辞ではなく名前空間 URI で決定

名前空間の例

order.xml (接頭辞無し):

<order xmlns='http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2006/PB2/order'> ...
  <books>
    <book isbn='4-641-16210-7' number='1'/> ...

books.xml (接頭辞無し):

<books>
  <book><data><title>...

orders.xsl (少なくとも片方は接頭辞つき):

<xsl:transform xmlns:xsl='http://www.w3.org/1999/XSL/Transform'
   xmlns:o='http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2006/PB2/order' version='1.0'>
  ... <xsl:apply-templates select='o:order'/>
  ... <xsl:template match='title'>

変数の作り方

変数では一回計算した値を取っておいて、何回でも使える
XSLT の変数は数学と同様に、一旦決まったら変更は不可能
変数に名前が付く
変数を作る要素: <xsl:variable>
- <xsl:variable name='my値' select='...' />: 変数の値は @select の結果
- <xsl:variable name='my値'>...</xsl:variable>: 変数の値は要素の内容

変数の使い方

変数は名前の前に $ を付けて使う
例: @isbn = $order_isbn

XSLT のデータ型

(data types)

XSLT の変数、XPath の式などに数種類がある:

文字列 (string)
真理値 (boolean, 真 (しん) 又は偽 (ぎ))
数字 (number)
ノードセット (ノードの順番付き集合、node set)
ツリー (tree)

データ型の間の変換はある程度自動的

`<xsl:value-of>` 要素

<xsl:apply-templates> の @select はノードセットでないといけない
文字列だけを出力するときには <xsl:value-of select='...'> が使える
例: <xsl:value-of select='@price * @number'/>

演習

提出: 12月23日 (日曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

order.xml の注文を (X)HTML で分かりやすいように変更する。注文票に本の題名、著者、値段などをbooks.xml から引用し、本ごとの小計 (冊の数 * 単価) を計算し、表で出力する。

条件: 同じ処理を繰り返さないように、そして XSLT が読みやすいように、変数を一つだけではなく三つぐらい使ってください。

ヒント: 途中までの変換ファイル: myorders.xsl