計算機実習 I

第八回 (2005年 6月 9日)

ポインタの基礎

© 2005 Martin J. Dürst 青山学院大学

先 (先) 週の演習について: 06B1

getstring 関数の設計:


位置	指数の値	入力文字
位置	指数の値	`EOF`	`\n`	他
最初	`i==0`	b[0]='\0'; return end;	b[0]='\0'; return okay;	b[0]=c; i++;
場所あり	`i<l-1`	b[i]='\0'; return okay;	b[i]='\0'; return okay;	b[i]=c; i++;
ぎりぎり	`i==l-1`	b[i]='\0'; return okay;	b[i]='\0'; return okay;	b[i]='\0'; i++;
多すぎ	`i>l-1`	return over;	return over;	なし

ポインタの用途

低レベルのアドレス操作 (デバイス割り当てなど)
動的メモリの管理
配列の処理の効率化
参照 (関数への渡しなど)
間接 (indirection)

メモリの仕組み

コンピュータでのメインメモリはすごく大きなバイトの配列
メモリの番地はアドレスと言う
ポインタはそのアドレスを使う

ポインタの演算 (1)

アドレス演算子 & (単項)
間接演算子 * (単項)

ポインタの型

ポインタは他の型 (整数、関数、構造体など) と別
ポインタ型には指す型が含まれている
- 例: int のポインタ、double のポインタ、char のポインタ
それによって、ある程度の指し違いを防ぐことが出来る

ポインタの演算 (2)

ポインタに整数を足引できる
- 足し算、引き算
- 代入足し算、代入引き算
- インクリメント、デクリメント
整数 1 でポインタはポインタが指す型のサイズ一個分ずらされる

配列とポインタ

配列は、C の場合最初の位置しか記憶されない
配列には同じ型の物が順番に並んでいる
配列とポインタは非常に似ている

実際、C の場合には配列とポインタは殆ど同じ

ポインタの方程式

&*p ≡ p

*&v ≡ v

*(p+i) ≡ p[i] ≡ i[p]

(p はポインタか配列かは問わない)

引数の参照渡し

目的:
- 関数に値を渡すのではなく、
- 変数への参照を渡すことによって
- 変数そのものを関数から変更できるようにする
技法:
- 引数をポインタとして定義
- 関数呼び出し時にはアドレス演算子を使う
- 関数の中には常に間接演算子とともに使う
問題点:
- 自動ではないので注意 (特に scanf などコンパイラが型をチェックできない場合)

参照渡しの定石 (配列以外)

関数側:

void function (int *p) {
    if (*p < 10)
        *p += 3;
}

呼び出し側:
```
int i = 5;
function (&i);
```

参照渡しの (配列)

配列は自動的に参照渡しされる
関数の中では配列とポインタの差が全くなくなる
(引数定義では int *a; と int a[]; は全く同じ)
配列の長さが分からないので別に渡すのが多い

今週の演習

08A1 からやること
08B1 まで出来たら一回見せてください
08B2, 08C1 等: 「関数を作成」の問題ではテストしやすいような main 関数も作る
08B3 まで出来たらもう一回見せてください
08C2 は今日はやらない

次回の準備

C: ドライブに作ったプログラムを忘れずに Z: ドライブに移す
今日の復習
新訂新 C 言語入門の第 8 章 (ポインタ、pp. 203-228) をもう一回良く読む。