後期試験 ・ 2022 年 1 月 28 日 2 時限実施 ・ ページ
授業 科目 |
情報数学 I | 学生番号 | 学科 | 学年 | 組 | 番 | フリ ガナ |
評点 | ||||||||
氏名 | ||||||||||||||||
担当者 | DÜRST, Martin J. |
次の情報数学関連の英語の用語に相当する日本語の用語を書いて、簡単に説明しなさい。日本語の用語ではカタカナをできるだけ避けなさい。 / For the following English terms from Discrete Mathematics, write their Japanese equivalent and a short explanation. For the Japanese terms, avoid Katakana as much as possible.
足算の公理も含めペアノの公理を四つ記述しなさい (8 点)。
ペアノの公理の意義を説明しなさい (4 点)。
数学はできるだけ少ない前提からスタートし、できるだけ多くのことを証明するのが目的である。 幼稚園の園児でも分かるぐらいの数の数え方、足し算の法則 (結合率など) や自然数そのものを当たり前と思わず、 もっと基本的な公理から導くので、まさに数学の基礎である算数をもっとも数学らしくした。
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次の表の基数変換を行いなさい。
番号 | b の基数 | b | a の基数 | a |
---|---|---|---|---|
例 | 2 | 10111100 | 16 | BC |
5 | 3311 | 10 | 456 | |
8 | 264315 | 2 | 10110100011001101 | |
14 | 135 | 7 | 465 | |
8 | 76540123 | 4 | 332230001103 | |
3 | 102020 | 10 | 303 | |
27 | GH48A | 3 | 121122011022101 | |
2 | 1100000011011110 | 16 | C0DE | |
10 | 186 | 17 | AG | |
16 | 1B62 | 4 | 1231202 | |
2 | 10001001100 | 10 | 1100 | |
8 | 175336 | 16 | FADE | |
10 | 177 | 7 | 342 |
ある代数系の (真の) 部分代数系は、その代数系の集合の同代数系の条件を全て満たす (真の) 部分集合と定義されている。 ここで群の部分代数系である部分群について考える。
集合が長さ 2 のビット列で、演算はビット毎排他的又はの群の積表 (Caley table) を書きなさい。(8 点)
XOR | 00 | 01 | 10 | 11 |
---|---|---|---|---|
00 | 00 | 01 | 10 | 11 |
01 | 01 | 00 | 11 | 10 |
10 | 10 | 11 | 00 | 01 |
11 | 11 | 10 | 01 | 00 |
上記の群とその同型の名称を書きなさい。(1 点)
クラインの四元群 / Klein group
群の定義上必ずどの部分群にも属さないといけない要素の一般的な名称を書いて、その理由を説明しなさい。(3 点)
単位限。なぜかというと、他の要素を一部省いても、演算はそのままなので、単位限も同じ物のままです。
群理論から、元の群の大きさが部分群の大きさの倍数になるのが知られている。左記の群の部分群の大きさとしてあり得るものを列挙しなさい。(2 点)
1, 2, 4
左記の群の真の部分群の一つを積表で書きなさい。残りの真の部分群全てについては集合だけ書きなさい。(5 点)
XOR | 00 | 01 |
---|---|---|
00 | 00 | 01 |
01 | 01 | 00 |
{00, 10}, {00, 11}
一般の群において、真でない部分群の数とその特徴について書きなさい。(3 点)
一般の群には真でない部分群は2つある。一つは元の群そのもの。もう一つは単位限だけからなる群。
真かどうか問わず、一つの部分群しかない群について説明しなさい。(2 点)
大きさ1の群 (単位限のみ) は自分自身しか (真でない) 部分群として持っていません。
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担当者 | DÜRST, Martin J. |
下記の表に論理式 ¬D∨(B→C)∧¬C の計算の途中経過と結果を記入しなさい。(12 点)
B | C | D | ¬D | B→C | ¬C | (B→C)∧¬C |
¬D∨(B→C)∧¬C |
F | F | F | T | T | T | T |
T |
F | F | T | F | T | T | T |
T |
F | T | F | T | T | F | F |
T |
F | T | T | F | T | F | F |
F |
T | F | F | T | F | T | F |
T |
T | F | T | F | F | T | F |
F |
T | T | F | T | T | F | F |
T |
T | T | T | F | T | F | F |
F |
論理式 ¬D∨(B→C)∧¬C に相当する論理回路を書きなさい。(8 点)
上記の式を段階的に単純化し、それぞれの段階でどのような性質や法則を使ったかを書きなさい。(8 点)
単純化 | 使用した性質 |
---|---|
¬D∨(B→C)∧¬C | |
含意の除去 | |
¬D ∨ (¬B∨C) ∧ ¬C | |
分配律 | |
¬D ∨ ¬B∧¬C ∨ C∧¬C | |
矛盾律 | |
¬D ∨ ¬B∧¬C ∨ |
|
真偽の性質 | |
¬D ∨ ¬B∧¬C | |
標準形の特徴を四つ列挙しなさい。(8 点)
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P = {2, 3, 5, 7, 11, 13} 内の関係 R で、xRy は x を y で割った余りが 1 以上 3 以下の場合だけ真である。R を下記の五つの表現形式で書きなさい。
順序対の集合 (内包的記法): {(x,y) | x∊P ∧ y∊P ∧ 1 ≦ (x mod y) ≦ 3}
順序対の集合 (外延的記法): {(2,3), (2,5), (2,7), (2,11), (2,13), (3,2), (3,5), (3,7), (3,11), (3,13), (5,2), (5,3), (7,2), (7,3), (7,5), (11,2), (11,3), (11,5), (13,2), (13,3), (13,5), (13,11)}
表 (4 点) | 行列 (4 点) | グラフ (4 点) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 1 0 1 0 [大きい丸括弧省略] |
[図省略] |
R の場合、授業で習った四つの関係の性質の内、三つについて、順序対の追加で性質が成り立つようになる場合、最低どの順序対を追加したら成り立つのか、 逆に順序対の追加で性質が成り立つことが不可能な場合、最低どの順序対を削除したら成り立つのかを、性質と追加・削除を明記して書きなさい。 (9 点)
(2,2), (3,3), (5,5), (7,7), (11,11), (13,13) の追加で R が反射的になる。
(5,7), (5,11), (5,13), (11,13) の追加で R が対称的になる。
(2,3), (2,5), (2,7), (2,11), (2,13), (3,5), (3,7), (3,11), (3,13) の削除で R が反対称的になる。
この授業で一番分かりにくかったことを書きなさい。 (決まった正解はありません。「英語」とだけ答えないこと。)
What was most difficult to understand in this course? (There is no definite answer. Do not simply answer "English".)
@@@@
@@@@
この授業で一番勉強になったことを書きなさい。 (決まった正解はありません。)
What topic in this course was most interesting for you? (There is no definite answer.)
@@@@
@@@@
一回目の授業では参考書の購入 (又は借り出し) と熟読が強く進められました。熟読した参考書の詳細を書きなさい。参考書を読まなかった場合、その理由を書きなさい。
廣瀬健著、情報数学、
電子情報通信学会編、コロナ者
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下記の数、学生、ペット、食料などについての英文に相当する式を作成しなさい。授業で習った記号は全て使って構いません。学生の集合は
S、ペットの集合は P、食料の集合は F、学生 s はペット p が好きということを
like(s, p)、学生 s が食料 f を所有するということを own(s, f)
で表す。それ以外、名前付きの述語、関係、関数を使わないこと。
Create the formulæ corresponding to the English sentences below about numbers, students, pets, food,...
You can use all the symbols that were introduced in this course. Use S for the set of students,
P for the set of pets, F for the set of foods,
like(s, p) to express that student s likes pet p,
and own(s, f) to express that student s owns food f.
Do not use any other named predicates, relations, or functions.
All students like all foods. ∀s∈S: ∀f∈F: like(s,f)
There is a pet who likes every food. ∃p∈P: ∀f∈F: like(p,f)
Every student likes a pet. ∀s∈S: ∃p∈P: like(s,p)
There is a food which is liked by all students. ∃f∈F: ∀s∈S: like(s,f)
There is a student who is disliked by all pets. ∃s∈S: ∀p∈P: ¬like(p,s)
All pets dislike a food. ∀p∈P: ∃f∈F: ¬like(p,f)
All foods are liked by a student and a pet. ∀f∈F: (∃s∈S: like(p,s)) ∧ (∃p∈P: like(p,s))
Every student owns a pet or a food. ∀s∈S: (∃p∈P: own(s,p)) ∨ (∃f∈F: own(s,f))
No food liked by a pet is liked by a student. ∀f∈F: (∃p∈P: like(p,f)) → ∀s∈S: ¬like(s,f)
If every pet dislikes a food, then every student likes a pet.
(∀p∈P: ∃f∈F: ¬like(p,f)) → (∀s∈S: ∃p∈P: like(s,p))
Every student likes two foods and a pet.
∀s∈S: ∃f,g∈F: ∃p∈P: f≠g ∧ like(s,f) ∧ like(s,g) ∧ like(s,p)
No two students like the same pet or the same foods.
∀s,t∈S: s≠t → (¬∃p∈P: like(s,p)∧like(t,p)) ∧ (¬∃f∈F: like(s,f)∧like(t,f))
Any student who owns a pet owns some food liked by this pet.
∀s∈S: ∀p∈P: own(s,p) → ∃f∈F: own(s,f) ∧ like(p,f)
If a student likes a pet, and this pet likes a food, then the student also likes this food.
∀s∈S: ∀p∈P: like(s,p) → (∀f∈F: like(p,f) → like(s,f))
The division of any natural number by any complex number produces a rational number.
∀a∈ℕ: ∀b∈ℂ: a/b∈ℚ
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次のフィボナッチ関数の値を表に記入しなさい。(5 点)
n | 0 | 1 | 2 | 3 | 5 | 8 | 13 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
fib(n) | 0 | 1 | 1 | 2 | 5 | 21 | 233 |
フィボナッチ関数の値が引数とちょうど同じ数の集合を書きなさい。(4 点)
外延的記法: {0, 1, 5} 内包的記法: {a | a∈ℕ, fib(n)=n}
フィボナッチ関数の値が引数の二乗になっている場合の値の集合を書きなさい。(4 点)
外延的記法: {0, 1, 144} 内包的記法: {a | a∈ℕ, ∃b∈ℕ: a = fib(b)=b2}
フィボナッチ関数の定義を書きなさい。(5 点)
fib(0) = 0; fib(1) = 1; ∀n>1: fib(n)=fib(n-1)+fib(n-2)
次のフィボナッチ関数の性質を式で表しなさい: 全ての n において、fib(0) から fib(n) までの総和は fib(n+2)-1 と等しい。(4 点)
∑i = 0 nfib(i) = fib(n+2) - 1
上記の性質を数学的帰納法で証明しなさい (ヒント: 両側に fib(n+1) を足す; 12 点)
ステップ 1: 基底: n=0 の場合、左側は fib(0)=0 のみで、右側の fib(2)-1 = 1-1 と等しい。
ステップ 2: 帰納: 証明したいこと: n=k+1>0 において、性質が成立する、すなわち ∑k+1i = 0
fib(i) = fib(k+3) - 1 であること。
a. 仮定: n=k において、∑ki = 0
fib(i) = fib(k+2) - 1 が成立していること。
b. 仮定からスタートする: ∑ki = 0
fib(i) = fib(k+2) - 1
両側に fib(k+1) を足す: ∑ki = 0
fib(i) + fib(k+1) = fib(k+2) + fib(k+1) - 1
総和の性質 (左側) とフィボナッチ関数の定義 (右側) を利用して両側を単純化:
∑k+1i = 0 fib(i) = fib(k+3) - 1
これはちょうど証明したい式と同じなので、Q.E.D.
次の式を木の形で書きなさい。
¬Q∨X∧W 3+7≧4*5 NOR(A, B, XOR(C,D))
∨ ≧ NOR / \ / \ / | \ ¬ ∧ + * A B XOR | / \ / \ / \ / \ Q X W 3 7 4 5 C D
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集合 {2, 3, 4} の冪集合で作られるブール代数 (以下、冪集合ブール代数という) のハッセ図を書きなさい。(5 点)
冪集合ブール代数の各要素内の要素の積をとって、新しいブール代数 (以下、積ブール代数という) を作って、両方のブール代数について下記の表を埋めなさい。(13 点)
番号 | 項目 | 冪集合ブール代数 | 積ブール代数 |
---|---|---|---|
B | P({2, 3, 4}) | {1, 2, 3, 4, 6, 8, 12, 24} | |
0 | {} | 1 | |
1 | {2, 3, 4} | 24 | |
⫬a | ac (又は {2,3,4}-a) | 24 / a | |
△ | 積集合 | 最大公約数 | |
▽ | 和集合 | 最小公倍数 | |
半順序 | 部分集合 | 余りなしで割れるか |
部分問題 X.6 と X.7 (△ と ▽) の積ブール代数の回答では「最大」や「最小」がでた筈。冪集合ブール代数の X.6 と X.7 に書いた概念を、同じ「最大」や「最小」を使って説明し、その概念を表す「最大」や「最小」を含む熟語を作ってください。
X.6 (△) の概念。(3 点)
積集合は二つの非演算子の集合を両方含む最大の集合なので、熟語には最大共通集合がいい。
X.7 (▽) の概念。(3 点)
和集合は二つの非演算子の集合を含む最小の集合なので、熟語には最小包含集合がいい。
ブール代数のハッセ図で任意の二つの頂点 a と b に対し、▽ の演算の結果をどのように求めるかを説明しなさい。説明の中で「最大」や「最小」を使いなさい。(6 点)
a を含む a から下へ向く辺を全部下向きに再帰的に辿って、到達できる全て頂点に印を付ける。
同様に b から下へ行きながら辿り着ける全頂点に別の印を付ける。
両方の印が付いている一番高い位置にある (即ち、最大の) 頂点が ▽ 演算の結果です。
授業では数学を言語と位置づけた。情報テクノロジーにとって大切な他の言語とも比べ、なぜ数学が言語といわれているのかを考え、説明しなさい。
言語は自分の物事についての考えを言える・記述できる、他人の考えを理解できるものと考えられる。 数学は他の情報テクノロジーにとって大切な日本語、英語、プログラミング言語と同様にそういう役割を果している。 場合によって、例えば日本語で言いにくいことは数学ではっきり表せることもある。